着物book日記

おキモノ好きが着物関係の本を問わずがたり、というblog。

着物の本(52) 秋月洋子のおでかけ着物コーディネート帖

もう一冊。

秋月洋子のおでかけ着物コーディネート帖 (小学館実用シリーズ LADY BIRD)

秋月洋子のおでかけ着物コーディネート帖 (小学館実用シリーズ LADY BIRD)

2007/4/18

 

秋月洋子さんの本は、前にこちらの浴衣の本をご紹介しました。

 

しかしこの本、表紙がこれに似てるな…

着物の本(50) 伝統を知り、今様に着る 着物の事典 - 着物book日記

 

裏表紙はこれに似てるな…

 

でも、この2冊より前に出た本なんですよね〜。2007年は、私は着物にほぼ興味が無かった時代なのですが、もしかしたら結構話題になって、他の本が発行される際にお手本となっていた1冊なのかもしれません。ちょうど2014年のはじめに君野倫子さんの半幅帯の本が出て半年してから、半幅帯推しの本の発売ラッシュになったみたいにね(笑)

気軽で便利!  半幅帯結び 楽しみ帖 →  半幅帯の本: 普段きものがもっと楽しくなる 半幅帯なら着物もゆかたももっと楽しい! 着物の楽しみが広がる 帯結びアレンジ帖

 

まずは表紙について。アマゾンで見られる表紙は、瓶覗きの色の着物に黒い帯、シンプルな青い帯留、と5月に装いたいようなさわやかなコーディネートですが、この帯周り部分、本の帯なんです。この帯を取ると、なんと初春向けのもうひとつ別のコーディネートが現れるという仕掛け。本好き、着物好きの私には、こういう工夫には正直、興奮を隠せません。ちなみに、もし買う時に帯がついていなくても、見返しに両方のコーデ紹介がされているのでご安心ください。 

さて、内容については12ヶ月の季節にあわせたおでかけコーディネート、あいまあいまに同じ着物で帯を変えた場合のバリエーションの紹介を挟みます。この、まず1ページで全体を紹介して、2ページでその詳細を紹介して、それを12セットやる、という流れは師匠の石田節子さんの出された最近の本も似た感じですね。

 

さすが師弟関係だけあって、この2冊はすごーく趣味が似てると思います。石田節子さんよりシンプルにして、色味を淡くして、20代、30代向けにすると、こちらの秋月洋子さんの本になる、というイメージ。羽織はそんなに付かないコーディネートとなるのも若向きなカンジですね。

その後は、小物使いのポイントの紹介、きちっと見える着付けチェックポイント、といったところ。その他、「帯つきは恥ずかしいの?」「麻の帯はいつ着られるの?」などの小さい囲み記事での初心者向けもQAも豊富です。値段は書いていませんが、購入したお店の記述がきちんとあるのも嬉しいところです。ちなみに、ご本人の写真はほとんど出て来ないので、それを見たい方は先述の浴衣の本のほうがいいと思います。

 

着物の本(51) 母譲りのきもの

こんにちは。

今日はこちらです。

母譲りのきもの: 絆のきものを私らしく、お手入れ (家庭画報Special)

 

母譲りのきもの: 絆のきものを私らしく、お手入れとお直しのお洒落 (家庭画報Special)

世界文化社 2011/9/16

 

表紙はシンプルな白地に、古そうなたとう紙から出て来たような茶色い絣模様の着物、今はちょっと見ないようなピンク色に飛び絞りの帯、小さなつづら箱に入った帯留め付きの赤い帯締め…となんだか懐かしさ感ただようコーディネートの表紙です。ベビーブーム世代の人が、母からもう着ないと譲られた紬に、これも母が若いころに着た羽織をリメイクした帯を合わせてみました、というような感じでしょうか…?この表紙についての説明は、なぜか本文に一切なく、詳しく分からないので全部想像です(笑)

さて、家庭画報Specialということで探してみたら、やはり「きものSalon」の少し前の号の特集で同じタイトルのものがありました。

きものサロン2010 春夏号 (2010) (家庭画報特選)

きものサロン2010 春夏号 (2010) (家庭画報特選)

「母譲りのきもの-箪笥の中身がよみがえるお洒落技100」とあります。この本は、この記事をベースに少し編集を施した内容、というところでしょうか。

 

さて、冒頭から50ページくらいは、25人の着姿の写真と共に、その着物の来歴を語る、という記事が延々と続きます。実母、義母、祖母から譲られた着物。もしくは祖父や伯父のものの仕立て替え、なんてものもあります。市田ひろみさんや原由美子さんなど有名なかたが混じっていますが、中心は代々続く呉服屋や染織家など。60代が中心ですね。

そう、60代中心なんですよ。70代や80代の方もいらっしゃいます。やっぱりそれくらいの方のほうが、母きものストックがある、ということなんでしょうね。40代らしき方もいらっしゃいますが、その場合、ほぼ大抵は祖母の着物の紹介になります。

戦前生まれの方たちはきものが普段にある環境に育ち、戦後も普段は洋装でもお洒落着は着物、と決めていた方が多いのですから、その方たちの審美眼にかなって残された着物たちが素敵じゃないわけがありません。それらを現代だとどんな風に着こなすのか、フォーマルからカジュアルにいたるまで紹介されています。現代感覚…といっても、そこはご年配の方々ですから、オーソドックスなルールを守った上品な着姿ですので、とても安心して見られます。

それが終わると、古いきものを現代に合わせて着るポイント、仕立て替えや完全なリメイクの方法が幅広く紹介されます。かなりギッシリ詰め込んであるのですが、中でも、クロスステッチでシミを隠す方法を5ページかけて手順付きで紹介しているのが興味深いですね。これなら出来そうな気がします。作務衣やコート、付け帯、小物の作り方のページもあります。この辺りは、以前ご紹介した、同じ「きものSalon」シリーズのこちらの本に相通ずるものがありますね。

着物の本(41) 自分でできるきもののお手入れ&お直し - 着物book日記

 

丸帯の本角出し結びの結び方、短い帯の銀座結びの結び方、対丈の着物を手ぬぐいを縫い付けて着る方法など、ちょっと他の着付けの本でも見ないような着付けの手順紹介があったり、最後はお手入れの相談ができるお店が全国から30店舗紹介されているなど、色々盛りだくさんです。

ご家族の着物が箪笥に沢山眠っている方は勿論、リサイクルで安く着物を手に入れたけど、イマイチ活用出来てない、なんて方にも見てみると良い本じゃないかな、と思います。

 

着物の本(50) 伝統を知り、今様に着る 着物の事典

記念の50冊目はこれにしようと思ってました。じゃん!

伝統を知り、今様に着る 着物の事典

伝統を知り、今様に着る 着物の事典

2011/4/4 池田書店

大久保信子 監修

 

当代もっとも人気のある着物指南の先生の一人、大久保信子さんが監修した事典です。

池田書店というのは実用書中心の出版社です。着物の本の出版社といえば、「きものSalon」を擁する世界文化社か、同じく「美しいキモノ」のハースト婦人画報社、もしくは河出書房新社、宝島社といったあたりが多いイメージですが、発売から3年経った今もアマゾンの着物カテゴリランキングのNo.1にずっと位置しつづけるこの書籍が、その4社以外の出版社とは思いませんでした。そういえば、三浦しをんの「舟を編む」という小説で、辞典ってどうやら特殊な編集作業を必要とするらしい、と知ったのですが、こちらもそうなんですかねぇ…

 

まず表紙から。茶色の小花柄の着物+軽く唐草の花模様の帯を着た人のアップのようですが、よく見ると帯締めはどう見ても三分紐。もしかしたら、帯になっているところは実際は単なる着尺の反物なのかもしれないですね。表紙にすっきりおさまるように考えられた着物風コーデのデザインなのです。裏表紙は同じ様に、桃色の縞の紬に黒い帯、やはり同様に三分紐がアクセントとなっていて、どちら側から見ても、一目で着物の本だ!ってわかりますね。

内容は、240ページフルカラーでぎっしり、

1章 着物の基本
2章 フォーマル着物
3章 カジュアル着物
4章 浴衣
5章 季節の着分け
6章 着付けのルール
7章 買い方・しまい方
8章 和のふるまい

巻末資料 用語解説

 

と、現代で着物のことをもうちょっと知ってみたい!というときに吸収したい知識が、写真やイラストも豊富にぎっしり収まっています。もはや現代の着物の教科書である。と言っても過言ではないのでは。巻末の「用語解説」は、親切にも、用語説明、兼、索引がわりとなっています。たとえば、「紗」ってなんだっけ…?となったときに「しゃ」を見れば、

 

「紗」しゃ:もじり織りの一種で、薄く、隙間ができるために透けることから、盛夏用の記事として用いられる→128、129頁

 

と書いてあり、その頁に進めば紗は勿論、混同しやすい絽や羅などの説明、さらに単衣・薄物についての記事を読むことが出来る、という風にとてもたどり着きやすくなっているという仕掛けです。

6章の「着付けのルール」には、着付けの手順自体は載っていませんが、ちょっと気をつけるべきこととして、大久保流のコツが一杯紹介されています。

一通りパラパラっと読んだら、あとは気になったことがあった時に取り出して読む、という使い方がオススメです。

 

参考文献リストにはいろいろ古い本も並んでいて、その中には、以前ご紹介した 現代きもの用語辞典もありました。

 

図書館などで借りるより、ずっと手元に置いておきたい本です。

 

着物の本(49) CLAMPもこなのオキモノ キモノ

こんにちは。

 

CLAMPもこなのオキモノキモノ

CLAMPもこなのオキモノキモノ 

河出書房新社 2007/2/14

 

可愛い表紙ですね。CLAMPと言えば1990年代から20年以上、最前線で活躍している有名なマンガ家集団で、「カードキャプチャーさくら」をはじめ、アニメ化された作品も沢山あります。4人のメンバーの中の作画担当、「もこな」さんの出された本になります。

アマゾンのレビューを読むと、CLAMPのファンの方が多いので、いまいちどんな本か想像がつきませんでしたが、なかなか濃い本でした。

 

・手描きの着物をポーズ撮りした写真+CGアート6種類と、そのメイキング。まさに漫画家さんならではのページですね。はじめにコンセプトアートを描き、それを着物のデザインに起こし、着物に絵を描いて仕立て、モデルさんに着てもらって、撮ってCGの背景を作る…とても手間がかかってますね。浴衣の背中の背紋をいれる部分に大きな絵羽模様を付ける、とか、左袖メインで左胸にちょっとかかるような模様を入れる、とか、たぶんフツーの着物では絶対考えない柄ゆき、とても新鮮です。

・手持ちの着物で行き先を想像しての15のコーディネート。いわゆる大正ロマンのアンティークがメインです。お好きなかたにはたまらない感じ!

・浅草さんぽのグラビア。モデルは20歳前後とおぼしき「詠心」(どうやらCLAMPメンバーの親類の方のようです)さんです。大正ロマン系でも、かなり若向きの可愛らしい着物。メリーゴーラーンドに載ってたり、料亭でご飯を食べていたり、ポーズが普通のグラビアと違っていて面白いです。

・季節の小物のアドバイスと、小物コレクションの紹介(モデル:今永瑠衣)。帽子やコサージュ、ショールなど、洋風とのMIXの参考になります。コレクションは高いものというわけではなく、可愛らしいもの中心。手作りものには銀粘土細工まであったり、手先器用な方だなー、と感心しきり。

・2005年~2006年の着物スナップ日記。ご本人、当時は30代後半になるかと思われますが、どれも色鮮やかで柄もこってり、攻めた着物ですね。舞台挨拶などの華やかな席が多いですが、晴れ着でもそうでなくても、常にカラフルです。たまには振り袖も。

・対談2つ:PUFFY大貫亜美さんと、一の蔵の店主・弓岡勝美さんと。一の蔵の店主さんは言っていることがなかなか面白いです。

・他のCLAMPメンバーのページで、マンガと小エッセイ。こういうの入っているのはちょっと同人誌っぽい感じですね。

・お気に入りの着物の柄の一部クローズアップギャラリーなど。

 

と、かなり盛りだくさんです。自分で着物を絵付けをしたり、帯と着物と小物を組み合わせて世界観を表現したりと、伝統にとらわれないキモノの楽しさを教えてくれる、アートな着物コンセプトブックとでも言えばいいのでしょうか。スタッフリストに着付けの担当の方がいないということは、ご本人で全部やられているのかと思われますが、それも驚きでした。

 

ちょこちょこキャラの名前が顔を出しますが、私は「カードキャプターさくら」止まりで最近の著作がどんなのかを知らず…こちらの表紙は、侑子というキャラらしいです↓ XXXholicというマンガはけっこう表紙がキモノなので、今度読んでみようかな。

×××HOLiC(13) (KCデラックス)

×××HOLiC(13) (KCデラックス)

着物の本(48) 聞き書き 着物と日本人

珍しく、新書です。

 

聞き書き 着物と日本人―つくる技、着る技 (平凡社新書)

聞き書き 着物と日本人―つくる技、着る技 (平凡社新書)

原田 紀子 2001年10月

 

「着物を着る上で参考になる話を書きたいと思った」という著者が、色々な方に着物についての聞き書きを行った内容を4つの章に分けて紹介しています。

 

1章…鵜匠や海女、またぎなど、昔からある仕事で働く人が着物をどう着ている/着ていたか。

2章…現代でも仕事に着物を着ている人の話。料理屋・隣花苑の女将や、京都の大学教授、山形の農家、神奈川の尼僧など。

3章…着物産業のうち、仕立て直しや染め物、洗い等、手入れを昔からやっている方の話。

4章…着物産業のうち、紋付けや古着の売買、帯の仕立てなど美を追及する方の話。

 

目次に20名の名前が挙がっていますが、実際は一回のヒアリングで他の方の名前も出てくるので、かなり沢山の方から話を聞いた労作になります。聞き書きだけあって、どの人も話が色々飛びがちなのを、横道もそのまま紹介していたりするので全体で見ると散漫な感じはあります。熊の冬眠の話とか、きものとはまったく関係ありませんね(笑)。

バラエティに飛んでいて、前後のつながりも薄いので、興味のあるところから読んでいくと楽しい本です。時代で野良着がどう移り変わっていったか、とか、大阪万博の松下館のコンパニオンの振り袖は春・夏・秋冬で3種類あった話とか、「へぇー」と思うところがいっぱい。普段自分が着るのにあたってはあまり参考にならない事も多いですが、昔の人はどうやって着物とつきあってきたか、今に至るまでにどのようか過程があったかということの知識が深まるのは楽しいものです。

着物の本(47) きものがたり(宮尾登美子)

47冊目。表紙の萩の小紋の表紙、自筆の題名。

きものがたり

きものがたり

宮尾登美子 1999年2月 世界文化社

 

著者は亡くなられたばかりです。ちょうど年明けすぐにこの本を取り寄せていたので、訃報を知った時には驚きました。20世紀を代表する女流作家の一人です。すでに以前に小説の錦 (中公文庫) をご紹介しましたが、こちらはエッセイ。

 

1926年生まれで、1998年の家庭画報の連載を元にしている本ですので、著者70代のころとなります。

12の月に分けて、文章と写真で、きものに関するエッセイと一緒に手持ちの着物が紹介されています。体裁としては澤地久枝きもの箪笥や、群ようこきものが欲しい! に似ています。写真で紹介されている着物の数がとても多く、100点あまり。それに加えて帯や羽織、コートも大量にあるという状態。これがお持ちの全てではないのでしょうから、普通にびっくりする量ですね・・・戦前の着物は戦中や敗戦後に失ってしまい、その後、苦労を経て作家としてデビューし華やかなご活躍をされている間に手に入れた着物が中心のようです。ですから当然多くを占めるのは訪問着や付け下げですが、それらは衣桁にかけた状態で撮影。それよりは地味な小紋や紬も上前全てと片袖を見せた状態となっており、いずれも、どんな着物なのか非常にわかりやすくなっています。それぞれ、帯や小物とは合わせたコーディネートをしていないため、単品に集中してうっとりできます。羽織やコート、帯の紹介の章もありますが、やはり中心は「きもの」、ということですね。

ご本人の着姿も、それほど多くはないですが紹介されています。70代でのお着物姿は、貫禄というよりも、来歴の深い一つの美術品のようなしっとりとした美しさを感じます。

さて、写真にある着物の話はどのような来歴か、だけでサラリと流されている事が多いです。文章で主に描き出されるのは、昔に失った着物や、人に譲ってしまって手元になく、写真では紹介されない着物の話ばかり。そっちを写真で見たくなります(笑)。ご本人も書かれている通り、それは郷愁ゆえでもあるのでしょう。が、それよりも、沢山の実際の人々を元にした半フィクションを著した著者の、過去へ飛ぶ力は人並みならぬものだという感想を持ちました。また、きものとは女のいのちであり、人との関わりであるということもひしひしと感じます。

 

ご自身の著書に関わる話もちょっとずつ出てくるので、もしまだ宮尾登美子の小説を読んだことが無い方なら、この本をまず読んだ後に、興味の方向が合うものを読んでみるのもオススメです。

 

櫂 (新潮文庫)著者の半自伝作品。子供の頃の話はこちら「」から。続く「春燈 」までが花街時代の話で、母との思い出が沢山詰まっています。牡丹色のコートの話は「朱夏」に、引き揚げ後、機で着物を作ってもらう話は「仁淀川」で出て来たと思います。

きのね〈上〉 (新潮文庫)歌舞伎界の話です。この連載の取材のために、気張って選んで着たきものが着姿で紹介されています。

序の舞 (中公文庫)女流日本画家・上村松園の話。彼女の絵の中の人物が着ている絞りの着物について、この本で触れられていました。

新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫)著書には歴史物も多いです。この幕末ものは、江戸のお姫様ならではの贅沢なお着物描写がたっぷり。

花のきもの (講談社文庫)これは未読ですが、もう一冊のきものエッセイ。アマゾンレビューで「きものがたり」とのあわせ読みをオススメされてたのでいつか読もうと思います。

  

着物の本(46) 現代きもの用語辞典

あけましておめでとうございます。結局去年内に50冊いきませんでしたが、新しい年もゆるゆるガッツリ進んでいきたいと思います。

さて、古い本から。

 

f:id:ayumatsu:20150103165904j:plain

現代きもの用語事典 (1970年)

本吉春三郎 編 婦人画報社

 

昭和45年初版です。私の持っているものは昭和50年の3版ですので、そこそこ定番商品だったのではないのでしょうか。増補改訂版という但し書きがしてあります。

本吉春三郎さんという方は、こちらによれば婦人画報社の経営者の一族で染織に造詣が深かった方だそうです。この本の巻末の婦人画報社のきもの本ラインナップでは、この方の本か、大塚末子さんの本ばかり紹介されています。

新書よりすこし幅のあるサイズで、手に取りやすい形になっています。はじめにまず16ページのカラーがあり、その後は三段組みに割り付けられ、あいうえお順にきもの用語が並べられているという構成です。合計300ページほど図案も多く、かなりボリューム感があります。

40年前のものなのでどの程度今と用語の違いがあるのだろう…?と思って見てみました。紬の地方ごとの名前や、歌舞伎役者の浴衣の柄についても由来の演目もあわせて紹介をしているなど、非常に項目は細かいのですが、今まで一度も見た事がない用語だな、と思ったのは1-2%くらいでしょうか?例えば

「黒振袖」…留袖や無地同様に、振り袖も「黒振袖」と「色振袖」に分かれていて、意味もわけられている

「夏姿」…夏の着物の着こなしにたいしてはこの専用の言葉がある。

「無線友禅」…糸目糊をひかずに描いた水彩画のような軽快な染め

などなど。すでに「TPO」という言葉が使われているなど、意外に現代とあまり感覚の違いは無い気がします。着物の格のルールや着こなしについては決めつけるようなことを書いていないから、ということも古びない理由かもしれません。なお、染めや織りの項目については、特に説明文章が長いです。編者の趣味な気もしますが、そちらに興味がある方はおすすめの本ではないかと思います。