着物book日記

おキモノ好きが着物関係の本を問わずがたり、というblog。

着物の本(48) 聞き書き 着物と日本人

珍しく、新書です。

 

聞き書き 着物と日本人―つくる技、着る技 (平凡社新書)

聞き書き 着物と日本人―つくる技、着る技 (平凡社新書)

原田 紀子 2001年10月

 

「着物を着る上で参考になる話を書きたいと思った」という著者が、色々な方に着物についての聞き書きを行った内容を4つの章に分けて紹介しています。

 

1章…鵜匠や海女、またぎなど、昔からある仕事で働く人が着物をどう着ている/着ていたか。

2章…現代でも仕事に着物を着ている人の話。料理屋・隣花苑の女将や、京都の大学教授、山形の農家、神奈川の尼僧など。

3章…着物産業のうち、仕立て直しや染め物、洗い等、手入れを昔からやっている方の話。

4章…着物産業のうち、紋付けや古着の売買、帯の仕立てなど美を追及する方の話。

 

目次に20名の名前が挙がっていますが、実際は一回のヒアリングで他の方の名前も出てくるので、かなり沢山の方から話を聞いた労作になります。聞き書きだけあって、どの人も話が色々飛びがちなのを、横道もそのまま紹介していたりするので全体で見ると散漫な感じはあります。熊の冬眠の話とか、きものとはまったく関係ありませんね(笑)。

バラエティに飛んでいて、前後のつながりも薄いので、興味のあるところから読んでいくと楽しい本です。時代で野良着がどう移り変わっていったか、とか、大阪万博の松下館のコンパニオンの振り袖は春・夏・秋冬で3種類あった話とか、「へぇー」と思うところがいっぱい。普段自分が着るのにあたってはあまり参考にならない事も多いですが、昔の人はどうやって着物とつきあってきたか、今に至るまでにどのようか過程があったかということの知識が深まるのは楽しいものです。