着物の本(46) 現代きもの用語辞典
あけましておめでとうございます。結局去年内に50冊いきませんでしたが、新しい年もゆるゆるガッツリ進んでいきたいと思います。
さて、古い本から。
本吉春三郎 編 婦人画報社
昭和45年初版です。私の持っているものは昭和50年の3版ですので、そこそこ定番商品だったのではないのでしょうか。増補改訂版という但し書きがしてあります。
本吉春三郎さんという方は、こちらによれば婦人画報社の経営者の一族で染織に造詣が深かった方だそうです。この本の巻末の婦人画報社のきもの本ラインナップでは、この方の本か、大塚末子さんの本ばかり紹介されています。
新書よりすこし幅のあるサイズで、手に取りやすい形になっています。はじめにまず16ページのカラーがあり、その後は三段組みに割り付けられ、あいうえお順にきもの用語が並べられているという構成です。合計300ページほど図案も多く、かなりボリューム感があります。
40年前のものなのでどの程度今と用語の違いがあるのだろう…?と思って見てみました。紬の地方ごとの名前や、歌舞伎役者の浴衣の柄についても由来の演目もあわせて紹介をしているなど、非常に項目は細かいのですが、今まで一度も見た事がない用語だな、と思ったのは1-2%くらいでしょうか?例えば
「黒振袖」…留袖や無地同様に、振り袖も「黒振袖」と「色振袖」に分かれていて、意味もわけられている
「夏姿」…夏の着物の着こなしにたいしてはこの専用の言葉がある。
「無線友禅」…糸目糊をひかずに描いた水彩画のような軽快な染め
などなど。すでに「TPO」という言葉が使われているなど、意外に現代とあまり感覚の違いは無い気がします。着物の格のルールや着こなしについては決めつけるようなことを書いていないから、ということも古びない理由かもしれません。なお、染めや織りの項目については、特に説明文章が長いです。編者の趣味な気もしますが、そちらに興味がある方はおすすめの本ではないかと思います。