着物book日記

おキモノ好きが着物関係の本を問わずがたり、というblog。

着物の本(41) 自分でできるきもののお手入れ&お直し

和裁の本2冊目です。

自分でできるきもののお手入れ&お直し ― 和裁知識ゼロでも、ぶきっちょさんでもできます!

 

自分でできるきもののお手入れ&お直し ― 和裁知識ゼロでも、ぶきっちょさんでもできます!

世界文化社 2010/6

 

これも「きものSalon」系列の本になります。副題の「和裁知識ゼロでも、ぶきっちょさんでもできます! 」とはなんて魅力的な言葉でしょう。ただし、私の持っている3刷の実物にはこの言葉は実際載っていません。なんででしょうね…(笑)

さて、まず、メイン特集である寸法のお直しについては、運針、三つ折りぐけと本ぐけ、キセという和裁ならではの技術について説明があった後、下記5種類のお直しについて、それぞれ2~4ページを割いて丁寧な説明が載っています。

 

・袷の裄直し(延ばす)…袖を取って身頃、袖幅を延ばし、再び袖付けをするまで

・袖無双の長襦袢の裄直し(延ばす)…上記と流れは同様。袖下の振りの直し方と、身頃は一枚なのでくけになる状態が違うところ。

・単衣の裄直し(延ばす)…同様ですが、上記2つにくらべると簡単そうに見えます。

・袷の袖丈直し(延ばす)…これは需要が多い気がしますが、袖丈がどんな身長でも統一されている現在、アンティークの長い振りを詰める需要のほうがさらに多そうな気がしますので、そちらを載せて欲しかったですね。

・雨ゴートの身丈直し(延ばす)…堅衿のカーブの出し方が独特です。これもお母様のコートを譲られた場合などで需要が多いのでしょうか?

 

少しだけ和裁をかじった身からすると、いくら丁寧に説明してあるといえども、待ち針やぞべ糸でのしつけはまったく紹介していない=完全にプロ向きな手順であるとか、まず家には無いと思われるコテを使うのが前提になっているなど、この本の説明だけで同じ事が出来る人は相当恵まれた人なのではないか、という印象です。

和裁パートが終わると、日本刺繍のアップリケやチロリアンテープの縫い付けでのリメイクの紹介。日本刺繍は、基本的な技がなんだか簡単そうに紹介してありますが、この説明だけできれいに仕上げるのは難しそう。その次は草木染めやダイロンで半衿帯揚げ、風呂敷といった小布を染めるというお直しが続きます。

洗う系のお手入れについては、単衣の解き洗いに挑戦する体験記事が載っているのみです。最後のほうは、付け帯、草履キーパー、和装下着、絹のパジャマ、割烹着など、ミシンで出来る小物の作り方が一杯載っています。普段に着物を着る人には嬉しい内容ですね。ミシンが無くても、手縫いで出来そうなごく簡単な小物もいくつかあります。

 

80ページというと少なく思いますが、細かくページを割って手順の説明、型紙などを盛り込んでいる所が多かったり、着物のハンドクラフト方面のブロガーのサイト紹介ページやお店の紹介等、お値段に見合う充実した内容になっているかと思います。ただし、全体的にはやはり、「きものSalon」ならではの「読んでうっとり」的側面が強い本かな、とは思いました。