着物book日記

おキモノ好きが着物関係の本を問わずがたり、というblog。

着物の本(50) 伝統を知り、今様に着る 着物の事典

記念の50冊目はこれにしようと思ってました。じゃん!

伝統を知り、今様に着る 着物の事典

伝統を知り、今様に着る 着物の事典

2011/4/4 池田書店

大久保信子 監修

 

当代もっとも人気のある着物指南の先生の一人、大久保信子さんが監修した事典です。

池田書店というのは実用書中心の出版社です。着物の本の出版社といえば、「きものSalon」を擁する世界文化社か、同じく「美しいキモノ」のハースト婦人画報社、もしくは河出書房新社、宝島社といったあたりが多いイメージですが、発売から3年経った今もアマゾンの着物カテゴリランキングのNo.1にずっと位置しつづけるこの書籍が、その4社以外の出版社とは思いませんでした。そういえば、三浦しをんの「舟を編む」という小説で、辞典ってどうやら特殊な編集作業を必要とするらしい、と知ったのですが、こちらもそうなんですかねぇ…

 

まず表紙から。茶色の小花柄の着物+軽く唐草の花模様の帯を着た人のアップのようですが、よく見ると帯締めはどう見ても三分紐。もしかしたら、帯になっているところは実際は単なる着尺の反物なのかもしれないですね。表紙にすっきりおさまるように考えられた着物風コーデのデザインなのです。裏表紙は同じ様に、桃色の縞の紬に黒い帯、やはり同様に三分紐がアクセントとなっていて、どちら側から見ても、一目で着物の本だ!ってわかりますね。

内容は、240ページフルカラーでぎっしり、

1章 着物の基本
2章 フォーマル着物
3章 カジュアル着物
4章 浴衣
5章 季節の着分け
6章 着付けのルール
7章 買い方・しまい方
8章 和のふるまい

巻末資料 用語解説

 

と、現代で着物のことをもうちょっと知ってみたい!というときに吸収したい知識が、写真やイラストも豊富にぎっしり収まっています。もはや現代の着物の教科書である。と言っても過言ではないのでは。巻末の「用語解説」は、親切にも、用語説明、兼、索引がわりとなっています。たとえば、「紗」ってなんだっけ…?となったときに「しゃ」を見れば、

 

「紗」しゃ:もじり織りの一種で、薄く、隙間ができるために透けることから、盛夏用の記事として用いられる→128、129頁

 

と書いてあり、その頁に進めば紗は勿論、混同しやすい絽や羅などの説明、さらに単衣・薄物についての記事を読むことが出来る、という風にとてもたどり着きやすくなっているという仕掛けです。

6章の「着付けのルール」には、着付けの手順自体は載っていませんが、ちょっと気をつけるべきこととして、大久保流のコツが一杯紹介されています。

一通りパラパラっと読んだら、あとは気になったことがあった時に取り出して読む、という使い方がオススメです。

 

参考文献リストにはいろいろ古い本も並んでいて、その中には、以前ご紹介した 現代きもの用語辞典もありました。

 

図書館などで借りるより、ずっと手元に置いておきたい本です。