着物book日記

おキモノ好きが着物関係の本を問わずがたり、というblog。

着物の本(28) きものが欲しい!

群ようこ続きます。

きものが欲しい! (角川文庫)

きものが欲しい! (角川文庫)

 

こちら世界文化社の「きものが欲しい!」の文庫化です。単行本版は2002年発売なので、先に紹介した「きもの365日」の少し前の本となります。表紙イラストは単行本と同じもので、西原理恵子

著名女流作家で着物というと、林真理子着物の悦びとか、宮部みゆきが確か平成お徒歩日記黄八丈買ってたりとか、もちろん古い所では林芙美子放浪記 でも着物の話は沢山出てきますね。群ようこもその系統に連なるのか、30前後からエッセイストとして売れて稼ぐようになった前後から、色々なところで着物を買った様子がエッセイとして続きます。いくつかの呉服屋との付き合いと失敗の話。伊勢丹で落ち着いたと思ったら、催される大規模な展示会が実は散財のもとで、母親に30分で500万円分の着物を買われてしまった話。それよりもっと前、まだ20代で会社員の時に買った、130万の山下八百子さんの黄八丈の話。こんな素晴らしい財力も、貯金を着物に使い切る思い切りも無い私には、こうしたお買い物の話はかけ離れた世界すぎてただ面白く読んでいるばかりです。合間に紹介される着物や帯はどれも物語があるような柄ゆきが多くて見ていて楽しいですが、それにしても驚くのは、結構たくさんの写真があるのに「きもの365日」に紹介されていた着物とかぶっていない!ということ。勿論、思い出の初めて買った着物(これはクロワッサンの着物の時間 2でも出てくる)の話とか、よく見ると愛用のバッグとか少しかぶるものはありますが、ほんのちょっぴり。どれだけ沢山着物をお持ちなのでしょう。とはいうものの、ポリの着物を買った話や着付けの工夫など普通に参考になる話もあります。なお、アンティークとか古着の話は一切無いのも一つの特徴かな、と思います。

合間に佐藤愛子(このかたも女流作家で着物好き)、平野恵里子(やはり着物好きのイラストレーターで本も沢山出している)、篠田桃紅(岩下志麻のきもの本にも出てくる墨での絵の作家の方です)との対談がさしはさまれ、あとは各種小物に関する自分のこだわりの小エッセイが最後に沢山詰め込まれています。

この2冊以降は、着物の本は出していないようです。「ぎっちょんちょん 」という三味線を習う女性のお話には、ちょこちょこ着物を買う話は出て来ていましたが、あくまでフィクションでしたし。日常エッセイには色々書かれているのでしょうか?さがしてみようかな。

「きもの365日」のほうでもそうだったのですが、コーディネート担当として秋月洋子さんの名前がクレジットされています。