着物の本(32) 石田節子直伝きもの着こなし術
こんにちは!今年も秋になり、着物本が沢山発売されています。その中で気になった一つをご紹介。
2014年9月 世界文化社
石田節子さんの本はすでに沢山ありますが、紹介するのははじめてですね。
こちらは着物の着方、ではなくてコーディネートに関する本です。
まず4ページの著者の四季グラビア。アラカンの年代ですので、そのゆったりした着付けは50代~60代の方が参考になりそうです。
次に、季節ごとに「色で遊ぶ」「文様で遊ぶ」「小物で遊ぶ」という3つの観点でのコーディネートの紹介×四季、でちょうど12ヶ月分のコーディネートが1ページずつ使って紹介されます。さらにそれぞれの四季について、かさねの色あわせの紹介、代表的な文様モチーフの紹介、季節のイメージを強調する帯留めや根付け、扇子といった小物の紹介でバリエーションを補強しています。出てくる着物はお召しや紬、縮、木綿といったカジュアルな織りの着物のみで、そういう方面で洒落を利かせた着こなしをする場合にとても参考になると思います。
後半に入ると、なんと半襟だけで本の全体の約三分の一を割いて、TPOや様々なコーディネートを紹介しています。ここまで半襟に力が入った本は初めて見ました。お店で買う時も、ネットで買う時も、半襟を実際に着た時のイメージってなかなかつかみにくくて困るのですが、この本では、トルソーの上半身アップで沢山のコーディネートを見せてくれます。そうしてくれると、きものだけでなく、帯と帯締め、帯揚げとのバランスが重要なことがよくわかります。「きものが欲しい!」で見た群ようこさんのコーディネートも色半襟が重要なポイントになっていましたし、半襟にさりげなく力を入れるっていいのかも、と思い始めてた私にはとても参考になります。トルソーですから、モデルの方の顔のイメージに左右されないのも良いです。
なお、この特集では前半と違って、カジュアル一辺倒ではなく、礼装や柔らかものにあわせるコーディネートも紹介されています。アンティークものでも、現代ものでも、たっぷりの刺繍の半襟は、やっぱりそうしたお着物のほうが似合いますもんね。
さらに、「白い半えり」についての検証コーナー。正絹の真っ白と、正絹のオフホワイトと、ポリエステルの青白、さらに織りや縮緬といった素材で顔うつりがどう変わるかを、同じモデルさんで大きな写真を使って紹介しています。色半襟が気になるといっても、なかなかコーディネートは難しそうだな、と無難な白半襟に落ち着く場合にも参考にできる内容です。モデルは衣裳らくやのスタッフの高島摩依さん。こちらはアラサーの方のようです。
そして最後は石田節子さんご自身の収納方法やプライベートの着こなし紹介、というファン向けのコンテンツ+長着と名古屋帯の着付けステップ紹介で終わります。名古屋帯は独特?の仮紐3本パターンですね。なお、半襟の付け方やメンテナンス等は一切載っていないので、それは他の本が必要そうです。