着物の本(33) きもの便利帖
こんにちは。本日はこちら。
河出書房新社 2007年10月刊
ちょうど7年前の今頃に出た本ですね。A6ソフトカバーのコンパクトな本。
1ページを数分割し、ページごとにきものにまつわるアイテムをテーマに据えて、様々なアイディアや便利グッズ、ちょっとしたコツ…つまり色んなTipsを短文と写真・イラストで紹介している本です。この各ページごとの体裁はちょっと「暮らしの手帖」を思い起こさせます。
1-2ページだけ抜き出してみれば、雑誌のQ&Aのページなんかには結構ありがちなのかな、と思いますが、この本はその体裁をずーっと続けることで、カジュアル着物でみんながきっと「?」と思うテーマをほぼ網羅してくれています。
たとえば、
「帯揚げ」…全部で3ページありますが、はじめのページは「オーダー帯揚げ」「出番の多い帯揚げ」「手作り帯揚げ」「スカーフ帯揚げ」について。
「履物」…全部で5ページありますが、同様にはじめのページだけ紹介すると、「カジュアルなら草履より下駄」「下駄の台選び」「歩きやすい下駄」「ツボの色も大事」について。
「襦袢・下着」…全部で6(略)「よそゆき襦袢とデイリー襦袢」「イチゴ柄襦袢」「私の季節別襦袢の選び方」「麻の襦袢の涼しさ」
どれもちょっと読みたくなる見出しでしょう?90ページにわたって各ページ3~5記事が詰め込まれているので、全部で400Tips弱くらいでしょうか。充実しています。こんなにあっても、冒頭の目次もTipsごとに細かく割ってくれているので、見つけるのが簡単です。
色々と具体的な商品が紹介されており、値段表記はありませんが、「居内商店」「浅野屋呉服店」「つゆくさ」「仙台屋」といったネットショップを展開しているお店が中心なので、気になったらさっとインターネットでチェックできるのも良いところです。ただ、出版されたのが結構前なので閉店していたり、同じ商品が無いこともありそうですが…
便利帖が終わったあとのおまけ的なモノクロページに「美しい所作・しぐさ帖」が20ページほどあり、ご本人の実演付きで色々なきものでの所作が紹介されています。これは安田多賀子のゆかた塾 でもあったなぁ、と思いますがバリエーションが豊富でわかりやすいです。
フォーマル系のTips、たとえば「フォーマルシーンにあわせた半襟の選び方」とか、「伝統柄の持つ意味」みたいなのは一切ありませんので、そうした向きをお探しの方だと「着物の事典」のほうがいいかな?と思いますが、カジュアルに色々工夫して着たい!という方にはこれ以上のたよりになる本は無い、と自信をもっておすすめしたい一冊です。