着物の本(13) 岩下志麻のきもの語り
今回は女優もの。どん。
ブックマン社発行、2011年11月。
表紙だけで迫力ある〜。泣く子も黙る大女優、岩下志麻サマの本でございます。岩下志麻=「極道の妻(おんな)たち」でのカッコ良さがつとに有名です。
1986年から1998年まで、岩下志麻主演で10作が公開されており、
そこで披露されるキモノのかっこよさは先日ご紹介した色っぽいキモノでも触れられておりました。
が、この本は女優・岩下志麻のそれ以上の魅力を紹介してくれます。まずは四季をイメージ?した4種類の着物のグラビアで幕をあけ、次はプライベートのお着物をトルソーに着せて撮影〜さらに鈴乃屋やメナード化粧品、京都丸紅でのご自分のブランドの広告写真〜映画で着ていた着物の紹介(半分以上「極妻」です)〜最後は成人の頃の振り袖など、過去のアルバムからのスナップ紹介 といった構成です。
どの章もそれぞれ面白いのですが、着こなしが参考になるのはやはりプライベートのお着物紹介でしょうか。プライベートといえども、そこは女優、常に人の目を意識した着物選びメソッドが披露されます。色無地?大島?そんな地味なものは志麻サマのワードローブにはございません。(紬は一着だけあります)
・基本的には気に入った着物をまず選び、それとバランスの取れる帯を考える。柄がけんかしないものを。
・帯揚げは着物と同系色、溶け込ませるか薄い色にして、帯締めはもちょっと濃い色にして締める
・外国で着る時はパッと目立つコントラストの強いものを
・片身代わりになるデザインがわりと好き
といったポリシーがきちっと文章と写真でわかりやすく紹介されています。
この章以外も、たぶん口頭でのお話を編集者(桜井美貴子さんというかた)が文章にしたと思われる読み物が沢山あり、ただ眺めるのにも、読むのにも、どちらでも楽しめるようになっています。特に最後の略年譜は旦那さんの篠田監督との初デートの詳細エピソードが入っていたり、女優引退の苦悩の期間が語ってあったり、着物と関係無く女優の半生を読ませます。3619円となかなか高価ではありますが、かつて極妻にあこがれた人、華やかな着物を着てみようと思っている方にはとてもおすすめです。
ちなみに大変失礼で恐縮ですが、1941年のお生まれなので、70歳の記念の齢に出された計算になります。ひとりの女性が出される本の紹介の時は、ついつい当時の年齢を明記してしまいますが、それはなぜなら、キモノは年齢に応じて着こなしを変えていけとしつこく本に書かれているので、その参考にするためです。しかし、この表紙は撮り下しですが、全然そんなお齢に見えない女優マジックなので、全然参考にならない…!もう全然別次元の存在とだけ思っておこうと思います・・・!