着物book日記

おキモノ好きが着物関係の本を問わずがたり、というblog。

着物の本(27) きもの365日

こんにちは。今日は文字ものです。

きもの365日 (集英社文庫)

 

きもの365日 (集英社文庫) 群ようこ、2004年5月刊

 

文庫書き下ろしのようですね。2003年1月1日から12月31日まで、48歳の1年をきもので過ごすぞ!という決意にはじまった1年をつづった日記です。

○月○日、何々を着た…というが延々と書いてあります。文字だけだと想像するのは難しいのですが、沢山のカラー写真で月々の着物姿と日々のコーディネートが紹介されています。

寒い季節は、着物を着て出かけては喉の赤くなるのに悩み、半襟付けを始めとする針仕事と箪笥の整理、もちろんお仕事の原稿書きは延々と。そして週1回はかならず着物で三味線を持って小唄のお稽古に通う日々。着物漬けではあるけれど、日々あまり代わり映えしないような生活が描かれます。でも、着る着物は季節につれてどんどん変わっていくのが面白いです。また、お師匠さんたちから着物の生活のための知識を得たり、女優の名取裕子さんと着物で対談をしたりといったイベントもちょこちょことさしはさまれ、そして再び冬が来るころには喉の赤さはババシャツで防げることを発見し(そういえば、まだヒートテックの無いころでしたね)、針仕事もいつの間にかウールの着物を一枚縫い上げて、一回り着慣れた実感を持って一年が終わります。

着物姿のお写真は、多分まとめて後で再現として撮ったのではないかと思いますが、どれもとても良く似合われていて、はっとするようなキレイな着姿です。それを見て行くと、紬でも柔らかものでも、半幅でも名古屋でも、共通点が見えてきます。まず、柄は控えめに、でも全面に入った濃い目の色の着物。もしくは縞の着物。それに色の組み合わせがはっきりした帯。具象ではなくて幾何学的なデザインが多いです。それに無地の色半襟に可愛らしい帯留めの組み合わせが基本となります。表紙の甲斐ヨネさんのイラストもまさにその通りですね。実は昔、出版されてすぐのころに一度読んだのですが、そのころまだ私もあまり着物に詳しくなく、単に地味なご趣味だなぁ、と思っていました。でも、ある程度着物の知識を蓄えた今では、ポリシーが統一されていて、着物や帯同士が沢山あっても組み合わせやすそうだし、まさに江戸風のステキな女性だなぁと感じ入ります。

自分の着物の履歴書、や思い入れなどはきものが欲しいのほうが詳しいのですが、読んでいて面白いのはこちらかな、と思います。