着物の本(19) きものの国のレディーたちへ
ちょっと古い本がつづきます!
小泉清子
オリジン社発行、主婦の友社発売、 1989年刊行。
小泉さんという方は戦後、ほとんど何もないところから呉服屋を始めて女性の着物美の普及に貢献され、NHKの大河ドラマ「春日局」の衣装も担当された、というのが本の冒頭で自己紹介されています。その呉服屋というのは,今やNC(ナショナルチェーン)「鈴乃屋」であり、現在も名誉会長として活躍中。そして、毎年の大河ドラマの衣装監修をされているのですね…!こちらに経歴紹介がございます。文字通り、戦後のきもの産業を支えた実業家ですね。
そんな方が若い方にすすめるきもの入門だけあって、きものの良さ、知識、着こなしをそつなくぎゅっと詰め込んだハンディな一冊です。デートからお見合い、結婚、夫の会社関係、お宮参りと、昭和の女性ライフをなぞって装いアドバイスをしているという構成は、多様化した平成の今見ると古すぎて笑っちゃいますし、こういう考え方の押しつけがきもの離れを招いたのかな、とも思いますが、大正生まれの方ですから当然ですかね…マナーやきまりごとの内容は、先日ご紹介した「初めて買うきもの 」と非常に近いものがあります。語り口はずっと親しみやすいです。文章もすらすらいけますが、それよりも私が驚いたのはこちら!
このイラスト、どなたかわかります?もう一枚。
懐かしい気持ちになられた同世代の方はいらっしゃいますでしょうか。コバルト文庫「なんて素敵にジャパネスク 」のオリジナル版のイラストレーター、峯村良子さんです。
データ上のクレジットがありませんが、目次ページ最後のスタッフリストにそっと名前が書いてありました。
表紙にこそイラストは使われていませんが、中身には、章の扉絵やら着物の紹介等も含め、さまざまな種類のイラストが満載。その全てを丁寧に描かれています。こんな着付けのステップも、ほら。
なんか感動です。ここまで丁寧でキレイな和服のイラスト描ける方って今、いらっしゃるのでしょうか。もうそれだけで手に取ってみる価値がある本だと熱く言っておきたい。