着物book日記

おキモノ好きが着物関係の本を問わずがたり、というblog。

着物の本(15) 一人で着るデイリー着物

いままでご紹介したものを振り返ると、着付けノウハウ系が少ない気がしたので本日はこちら。

 

一人で着るデイリー着物―基本の着付けと帯結び (別冊NHKおしゃれ工房)

一人で着るデイリー着物―基本の着付けと帯結び (別冊NHKおしゃれ工房)

2002年11月、NHK出版発行

 

およそ12年前に発行されながらも、重版をかさねて今なお流通している本です。私が持っているものは20刷になっています。

おしゃれ工房の別冊、ということはNHKで番組をやって、その集大成もしくはテキストとしての発行ということになるはずですが、かなり前なのでどのような番組かちょっとわかりませんでした。他にもいくつか同じ別冊ありますが、こちらの本がやっぱり一番基本でしょうか?

 

市田ひろみの着付けのすべて―決定版! (別冊NHKおしゃれ工房) 自分らしく着るデイリー着物―コーディネートの楽しみと基本の着付け (別冊NHKおしゃれ工房) めしませ着物―着付けから簡単お直しまで (別冊NHKおしゃれ工房) 

 

はじめにご紹介されている先生は、石田節子・市田ひろみ・森田空美・山下悦子の4名。そうそうたるメンバーですね。お教室の電話番号が併記されています。なんだか時代を感じます。ちなみに最後のほうにショップの紹介もあって、そっちはURLも表記されていますが、その情報は2003年に更新されたのが最後です。

コレ買う人って、本当に興味を持ち始めたくらいの人だと思うんですよね。実際、わたしもそういった時に買いました。デイリー着物とありますが、最終的には礼装用、振り袖用の帯結びまで、いろいろな着付けをさらりと一通り押さえており、知識はベーシックなので、けして間違ってはいないのです。これをじっくり読みながら着付けに挑戦した時もありました。そしてなんとか出来たときは嬉しかったですねー。でも、着付け教室にも通い、場数を踏んでから振り返ると、なんか大事なことがすっぽり抜けおちているの気がするのです。

 

たとえばきものの種類の紹介ページの中で、袋帯名古屋帯の紹介の文を抜き書きします。

袋帯…「袋状に織られたフォーマル用の帯。留袖や訪問着、付け下げ、色無地などに締める。」

名古屋帯…「袋帯より軽めの帯で、主に小紋、つむぎに。織りのものと染めのものがある。前幅を半分に折ったものは名古屋仕立てにしたもの。」

 

間違っていないですね。でも、2014年のいまだったら、袋帯はだいたいどれくらいの長さでというのがまず書かれるでしょうし、実際そもそも袋状に織られたものは少ない、ない、礼装向きとそうならない洒落袋帯があって、染めのものもあるといったことも書かれると思います。名古屋帯でも、これこれの長さで、九寸と八寸が、みたいな表現のものが多いと思うのです。それに、前幅って何?ナゴヤ仕立てってそれだけじゃないの?と思いますが、そういった疑問には一切答えてくれません。要は情報が古い、もしくは当時は当然だった常識をたよりにしすぎているのではないかと思うのです。今から買われるのは、あまりおすすめしません。

古い本を読むと、着付けも進化しているし、ベーシックな知識も進化しているなーと思う今日このごろです。