着物の本(23) 安田多賀子のゆかた塾
こんにちは!もう一冊、ゆかたモノを。
安田多賀子のゆかた塾―着付け、帯結び、お手入れ、所作などすべてがわかる
2012/7, 誠文堂新光社 刊
大きめで薄い、オールカラーのムック系の作りです。装賀きもの学院 という着付け教室の主催の方の本です。初めて聞くお名前ですが、ウェブサイトを見ると35年の歴史があり、岐阜を本校として色々な場所にお教室がある大きな団体のようですね。 『花saku』という雑誌での連載を再構成したものということですが、非常にまとまった本です。
ゆかたの初心者向けの本といえば、
・最新ゆかたカタロググラビア
・写真で解説するゆかたの着方・帯の結び方
・小物の紹介
・ヘアアレンジ
・崩れた時の直し方、畳み方等、ケアのQ&A
という内容を定番として、おもに若者向けに毎年2-3冊新しいのが出ますが、こちらは上記を網羅しただけでなく、さらに踏み込んだ内容として…
・帯の結び方のバリエーションに文庫+変わり結び3種、一重太鼓も紹介
・一つの浴衣を複数のコーディネートで紹介する
・半襟の付け方や、浴衣の縫い方、子供の肩上げ・腰上げの方法まで丁寧に紹介している
・着た後のケアも「衿はざっくり縫って中で動かないようにしてから洗濯機で洗濯」や、肌着の畳み方まで紹介するなどなかなか見かけない内容
と、さすが着付け教室の方の本だけあって、それぞれがとても奥深く、充実した内容となっています。ヘアアレンジだけは2ページだけでちょっと少なめボリュームです。
紹介されている浴衣は、表紙の三勝の浴衣のように、トラディショナルな柄が中心で、帯の合わせ方も上品ですが、中にはポップなものもあったりしてバリエーション豊かです。イラスト・写真ともに豊富な反面、モデルの多くが恐らく一般の方だったり、写真ひとつひとつが小さすぎてちょっとわかりづらかったりなど、作りの華やかさにはやや欠けるところもあります。
個人的にはマナーのページで、安田多賀子さんご本人が登場し、良くないポーズを実際に写真で紹介しているのがツボでした。20代以上できちんと着たい方にはうってつけの本なのではないかと思います。