着物book日記

おキモノ好きが着物関係の本を問わずがたり、というblog。

着物の本(22) 大人のおでかけゆかたコーディネート帖

すっかり夏休みをいただいておりました。

今日から9月1日、暦の上ではセプテンバー。浴衣の時期が終わってからで恐縮ですが今日はこちら。

大人のおでかけゆかたコーディネート帖 (小学館実用シリーズ LADY BIRD)

大人のおでかけゆかたコーディネート帖 (小学館実用シリーズ LADY BIRD)

2008年発行、小学館発行

 

こちら同じシリーズで着物版があり、その続編的位置付けになるかなと思われます。

 

秋月洋子のおでかけ着物コーディネート帖 (小学館実用シリーズ LADY BIRD)

 

さて、この本は浴衣といえども

・帯は必ず名古屋帯でお太鼓(たまに角出し)

・必ず足袋は履く

・基本は半襟つき、半襟なしなら詰め気味に着る

という3つのルールを課して、かぎりなく着物風に着るという提案の本です。

前半はいろいろな浴衣の素材や夏帯を紹介しながらの何人かのバレリーナさんの美しい着姿が満載です。色合いは上品でかわいらしく、柄は古典的なもので世界観が統一されています。お値段は明記されていませんが、素材もメーカーも必ず書いてあるので、いいなと思うものはすぐに同じものを探せそうです。

中盤かつメインの部は、30ページを費やして着回しコーディネート。しゃっきりした粋好み「江戸風」と、はんなりと上品な「京風」の2人が、それぞれ浴衣を4枚、帯を5枚で10パターンほどの着回しを見せてくれています。ここ10年くらいですっかり女性誌の定番になっているカレンダー日付とシチュエーション付きでの紹介。

たとえば江戸風の江戸子さんだと… 

「7月13日 仕事関係者が集うシャンパンパーティに」

で、竺仙の草花柄の絹紅梅に羅のベージュの博多帯。紺地に白くはっきりした草花柄が染め抜かれており、町並みにとても映えます。ほか縞の麻や、大きな模様の綿絽など、全体的に色も濃いめでくっきりした感じ。

京風の京子さんだと…

「7月6日 女同士が集まって友人宅で七夕前夜祭。ドレスコードはもちろんゆかた」

で、紫の板締め絞りの綿麻を半襟なしで着て、生成り色に茶色で縦にラインの入った、からむし織りの帯。ちなみに京子さんにおけるからむし織りの帯の頻度は高く、10パターン中4パターンまでがこの帯です。他の着物も帯も、淡く抑えた優しい感じ。

プレタを卒業して初めての浴衣のお誂え、から少し経って、ふと気づくと手元に何枚かの好みの浴衣がある状態なんて方、またはそれを始めから目指す方には大変参考になるのでは、と思います。

小物のページを経て、後ろの方は著者ご本人の夏浴衣の紹介となります。小千谷縮み、絞り、無地の絹紅梅と、どちらかというと京子さんに近い淡い色柄感覚で、着付けもすっきりして美しいです。

最後は仕立てや着付けポイント,お手入れ等のQ&Aです。長襦袢はどういうものを?という本当に大事な事にほとんど触れていないのが気になりましたが、他はバッチリ。着方のステップ紹介は無しというのも上級者向け感ある本でした。