着物book日記

おキモノ好きが着物関係の本を問わずがたり、というblog。

着物の本(51) 母譲りのきもの

こんにちは。

今日はこちらです。

母譲りのきもの: 絆のきものを私らしく、お手入れ (家庭画報Special)

 

母譲りのきもの: 絆のきものを私らしく、お手入れとお直しのお洒落 (家庭画報Special)

世界文化社 2011/9/16

 

表紙はシンプルな白地に、古そうなたとう紙から出て来たような茶色い絣模様の着物、今はちょっと見ないようなピンク色に飛び絞りの帯、小さなつづら箱に入った帯留め付きの赤い帯締め…となんだか懐かしさ感ただようコーディネートの表紙です。ベビーブーム世代の人が、母からもう着ないと譲られた紬に、これも母が若いころに着た羽織をリメイクした帯を合わせてみました、というような感じでしょうか…?この表紙についての説明は、なぜか本文に一切なく、詳しく分からないので全部想像です(笑)

さて、家庭画報Specialということで探してみたら、やはり「きものSalon」の少し前の号の特集で同じタイトルのものがありました。

きものサロン2010 春夏号 (2010) (家庭画報特選)

きものサロン2010 春夏号 (2010) (家庭画報特選)

「母譲りのきもの-箪笥の中身がよみがえるお洒落技100」とあります。この本は、この記事をベースに少し編集を施した内容、というところでしょうか。

 

さて、冒頭から50ページくらいは、25人の着姿の写真と共に、その着物の来歴を語る、という記事が延々と続きます。実母、義母、祖母から譲られた着物。もしくは祖父や伯父のものの仕立て替え、なんてものもあります。市田ひろみさんや原由美子さんなど有名なかたが混じっていますが、中心は代々続く呉服屋や染織家など。60代が中心ですね。

そう、60代中心なんですよ。70代や80代の方もいらっしゃいます。やっぱりそれくらいの方のほうが、母きものストックがある、ということなんでしょうね。40代らしき方もいらっしゃいますが、その場合、ほぼ大抵は祖母の着物の紹介になります。

戦前生まれの方たちはきものが普段にある環境に育ち、戦後も普段は洋装でもお洒落着は着物、と決めていた方が多いのですから、その方たちの審美眼にかなって残された着物たちが素敵じゃないわけがありません。それらを現代だとどんな風に着こなすのか、フォーマルからカジュアルにいたるまで紹介されています。現代感覚…といっても、そこはご年配の方々ですから、オーソドックスなルールを守った上品な着姿ですので、とても安心して見られます。

それが終わると、古いきものを現代に合わせて着るポイント、仕立て替えや完全なリメイクの方法が幅広く紹介されます。かなりギッシリ詰め込んであるのですが、中でも、クロスステッチでシミを隠す方法を5ページかけて手順付きで紹介しているのが興味深いですね。これなら出来そうな気がします。作務衣やコート、付け帯、小物の作り方のページもあります。この辺りは、以前ご紹介した、同じ「きものSalon」シリーズのこちらの本に相通ずるものがありますね。

着物の本(41) 自分でできるきもののお手入れ&お直し - 着物book日記

 

丸帯の本角出し結びの結び方、短い帯の銀座結びの結び方、対丈の着物を手ぬぐいを縫い付けて着る方法など、ちょっと他の着付けの本でも見ないような着付けの手順紹介があったり、最後はお手入れの相談ができるお店が全国から30店舗紹介されているなど、色々盛りだくさんです。

ご家族の着物が箪笥に沢山眠っている方は勿論、リサイクルで安く着物を手に入れたけど、イマイチ活用出来てない、なんて方にも見てみると良い本じゃないかな、と思います。