着物book日記

おキモノ好きが着物関係の本を問わずがたり、というblog。

着物の本(36) お江戸[半日]さんぽ ―11人の作家と、着物の似合う11の東京の町へ

まきます。

 

お江戸[半日]さんぽ―11人の作家と、着物の似合う11の東京の町へ (プレジデントムック)

お江戸[半日]さんぽ―11人の作家と、着物の似合う11の東京の町へ (プレジデントムック)

 2014年12月6日 プレジデント社

 

「七緒」の連載「着物で散歩」は毎号掲載されていますが、そのうちで東京に絞って選ばれた11の記事から再構成されたムックです。体裁は七緒本体とは違い、小さめの単行本サイズ。カバーもついていて、見た目は普通のガイドブックのようです。各作家が街で過ごした時間をご本人自身の文章で紹介するのを中心に、ふんだんな写真、人によってはイラスト、さらに簡単な町の地図に登場したスポットの住所や電話番号、営業時間といった内容です。

11の町の中には、浅草、両国、谷根千、湯島、神楽坂といった外国人にも人気のあるいわゆる「お江戸」な観光地から、吉祥寺や千歳烏山といった基本的には住宅地として認識されているエリアもあります。個人的には下落合〜目白というあまり観光地的ではない染め物エリアが紹介されているのが嬉しいところですね。東京以外から観光に来る着物好きさんには是非お勧めしたい場所です。半日散歩、と銘打っていますがなかなか密度も濃く、本当に真似して巡ったら半日ではすまないのではないだろうか?というボリュームです。

最も古くて2006年の号の記事からあり、現在閉店しているお店もちらほらあるのが東京の街の移り変わりの早さを感じますね。

 

それにしても、作家の皆さんの着姿は全員とても素敵です。特に清澄白河を訪れる辛酸なめ子さんは、可憐な感じの淡い水色の小紋に、粋な縞の帯という組み合わせが新鮮で、こんなにキレイな方なんだっけ?とハッとさせられます。そういえば、やはりこうした着物好き作家さんの先輩ともいうべき、群ようこさんが「きものが欲しい! 」でこんなことを書いてました。「体型的に欠点がある人ほど、着物姿に個性が出て素敵だ。着物雑誌に、今ふうのすらっとしたモデルさんたちの、野外での写真が載っていたが、体の存在感が無くてまるで野に立つ亡霊のようだった。モデルより一般の人が似合う衣類なんて、民族衣装以外、ないのではないか」(一部省略)

なるほど。うまく個性を生かした着付けになっているのだと思います。私も自分の個性を生かせる着付けを研究したいなと思います。